日本の持ち家率はどう変化した?最新統計の推移を分かりやすく解説
日本では長く持ち家志向が強いと言われますが、実際の持ち家率が今どうなっているのか、正確に把握している人は多くありません。
公的な統計を確認してみると、日本全体の持ち家状況は、なんとなくのイメージとは少し違う姿が見えてきます。
そこで本記事では、日本の持ち家率の推移や最新統計を整理しながら、年代や世帯構成、地域差といった切り口で日本人の住まいの実態をわかりやすく解説します。
そのうえで、今後の持ち家率の見通しや、これから住まい選びを考える人にとって重要なポイントもご紹介していきます。
日本全体の状況を客観的に押さえたうえで、自分に合った住まいの持ち方を一緒に考えていきましょう。
日本の持ち家率の推移と最新統計を整理
まず「持ち家率」とは、人が実際に住んでいる住宅のうち、そこに住む世帯が自分の持ち家として居住している割合を指します。
総務省統計局が5年ごとに実施する「住宅・土地統計調査」では、居住世帯のある住宅を対象に、持ち家、公営の借家、民営借家など所有関係別に戸数を把握し、そのうち持ち家が占める比率として持ち家率を算出しています。
空き家は分母に含まれないため、空き家率と単純に足して100%になる性質の指標ではなく、「暮らしている人の住まい方」の構成を示す指標と理解することが大切です。
このため、持ち家率を見る際には、住宅の総数ではなく、生活の実態に即した居住形態の割合を示す統計である点を押さえておく必要があります。
日本全体の持ち家率は、1970年代以降おおむね60%前後で推移してきたことが、長期時系列の公的統計から分かります。
例えば1970年代後半から1980年代前半には60%台前半でやや上昇したあと、1990年代以降は60%前後で大きな変動は見られず、直近の2023年調査でも持ち家率は60%台となっています。
長期で見ると、景気変動や住宅価格の変化があった時期でも、全国平均の持ち家率そのものは数ポイント程度の上下にとどまり、緩やかな横ばい傾向と整理できます。
したがって、日本全体としては、数十年単位で見ても「おおむね6割が持ち家、4割が借家」という構図が続いてきたと捉えられます。
最新の2023年「住宅・土地統計調査」によると、持ち家は約3387万戸で、持ち家率は60.9%となっています。
一方で借家は約1946万戸、居住世帯のある住宅に占める割合はおおよそ35%台であり、持ち家数・借家数ともに長期的には増加しつつ、構成比は大きく変わっていない状況です。
この背景には、人口減少や単身世帯の増加といった社会構造の変化が進む一方で、住宅ストックが拡大し、多様な住まい方が選択されてきたことが挙げられます。
その結果として、持ち家数・借家数はともに積み上がりながらも、日本全体の持ち家率は「ほぼ横ばい」で推移してきたと整理できます。
| 調査年 | 持ち家数 | 持ち家率 |
|---|---|---|
| 1993年頃 | 約3,000万戸台 | 約60%前後 |
| 2018年 | 約3,400万戸弱 | 約61%前後 |
| 2023年 | 約3,387万戸 | 60.9% |
年代・世帯構成別に見る日本人の持ち家状況
まず、世帯主の年齢によって持ち家率が大きく異なることが、住宅・土地統計調査から分かります。
令和5年調査では、家計を主に支える者が高齢者である世帯では、持ち家の割合がおおむね8割前後と高い水準です。
一方で、若年層が世帯主の世帯では、借家居住の割合が相対的に高く、持ち家率は年齢の上昇に伴って段階的に高まる傾向があります。
このように、年齢階級別にみることで、「いつ頃から持ち家を取得している世帯が多いのか」という大まかなイメージをつかむことができます。
次に、世帯構成の違いに着目すると、持ち家率の特徴がさらに明確になります。
令和5年住宅・土地統計調査では、高齢者を含む世帯全体でみると、持ち家の割合は60%台後半となっており、その中でも夫婦のみや夫婦と子から成る世帯では持ち家比率が高いことが示されています。
一方で、単身世帯では借家居住の割合が高く、特に若年単身層では賃貸住宅を利用しながら就業や転職に応じて住み替えるケースが多いことがうかがえます。
このように、単身世帯かファミリー世帯かによって、持ち家取得のタイミングや必要性に大きな差が生じています。
さらに、日本全体の世帯構造の変化も、長期的な持ち家率に影響を与えています。
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計では、単身世帯の割合が今後も上昇し、2040年頃には全世帯のおよそ4割前後を占めると見込まれています。
こうした単身世帯の増加や晩婚化、未婚率の上昇は、持ち家取得の年齢を押し上げる要因となり、結果として若年層全体の持ち家率を抑える方向に働いています。
一方で、高齢期には持ち家で暮らす割合が依然として高いことから、日本全体としては「若年層の持ち家率は低めだが、高齢層で持ち家割合が非常に高い」という二極的な構造が続いているといえます。
| 区分 | 持ち家が多い世帯像 | 借家が多い世帯像 |
|---|---|---|
| 年齢階級別 | 中高年・高齢世帯主 | 20代・30代世帯主 |
| 世帯構成別 | 夫婦のみ・夫婦と子世帯 | 若年単身・共働き単身 |
| 世帯構造の変化 | 長期居住の持ち家世帯 | 単身増加・晩婚世帯 |
日本の地域別持ち家率の差と人口動態との関係
総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」によると、日本全体の持ち家率は約6割台半ばで推移していますが、都道府県別にみると、その割合には明確な差があります。
社会・人口統計体系などを用いた分析では、持ち家率が高い都道府県では、全国平均よりも持ち家世帯の割合が数ポイント以上高く、逆に低い地域では賃貸居住の割合が相対的に高い状況です。
このように、同じ日本国内でも、地域特性によって居住形態の構成が大きく異なっている点を理解しておくことが大切です。
まずは、日本全体の水準と地域別の傾向を比較しながら、持ち家率の違いを整理していきます。
都道府県別データを整理した統計では、持ち家率はおおむね地方圏で高く、大都市圏で低い傾向が確認されています。
地方圏では、持ち家率が7割前後となる地域も多く、全体として一戸建て中心の居住形態が広く浸透しています。
一方で、人口が集中する大都市圏では、分譲・賃貸の共同住宅が多く、持ち家よりも借家に居住する世帯が相対的に増えるため、持ち家率は全国平均を下回りやすくなります。
このような都道府県別ランキングの傾向を踏まえると、自身の居住地域の持ち家率が全国の中でどの位置にあるのかを把握しやすくなります。
地域別の持ち家率の違いには、地価水準や住宅の建て方、人口密度など、複数の要因が影響していると考えられます。
地価が高く、土地面積が限られる地域では、戸建てよりも共同住宅が選択されやすく、賃貸住宅ストックも豊富なため、自然と持ち家率は低めにとどまります。
これに対し、土地に比較的ゆとりのある地域では、敷地の広い一戸建てを取得しやすく、世帯のライフサイクルの中で早い段階から持ち家に移行する世帯が多くなります。
さらに、人口密度が高い地域ほど転入・転出も活発であり、短期間の居住ニーズに対応した賃貸住宅の需要が高くなる点も、持ち家率の地域差を生む一因となっています。
空き家の状況と人口動態も、今後の持ち家率に影響を与える重要な要素です。
住宅・土地統計調査では、賃貸用や売却用、別荘などを除いた空き家率についても都道府県別に公表しており、特に人口減少が進む地域で高い傾向がみられます。
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によると、多くの地域で今後も総人口と世帯数の減少が見込まれており、居住に使われない住宅ストックがさらに増加する可能性があります。
その結果として、日本全体の持ち家数は一定程度維持されつつも、居住実態を伴わない持ち家や空き家が増え、統計上の持ち家率と実際に人が住んでいる住宅の状況とのギャップに、より注意を払う必要が出てきます。
| 区分 | 地域別持ち家率の特徴 | 人口動態との関係 |
|---|---|---|
| 大都市圏 | 共同住宅中心で持ち家率低め | 人口集中と転入超過が継続 |
| 地方圏 | 一戸建て中心で持ち家率高め | 人口減少と高齢化が進行 |
| 空き家が多い地域 | 利用されない持ち家が増加 | 世帯数減少と住宅余剰が拡大 |
統計から読み解く日本の持ち家率の今後と検討ポイント
日本全体の持ち家住宅率は、総務省の住宅・土地統計調査によれば長期的に見ると約60%前後で大きな変動は見られませんが、世帯構造や人口動態の変化により、今後も同じ水準が自然に維持されるとは限らない状況です。
国立社会保障・人口問題研究所の世帯数将来推計では、今後も単身世帯の割合が高まる見通しが示されており、持ち家を取得しないまま高齢期を迎える世帯の増加が懸念されています。
一方で、住宅・土地統計調査からは、空き家率が緩やかに上昇しつつ横ばい圏で推移している姿も確認でき、既存住宅が有効に活用されるかどうかが持ち家率の行方を左右する重要な要素になっています。
このような統計を踏まえると、日本の持ち家率は急激に上昇するよりも、緩やかな低下や横ばいを想定しながら、世帯ごとのニーズに合わせた住まい方を選ぶことが求められます。
さらに、今後の持ち家取得環境を考えるうえでは、住宅ローン金利や物価上昇、所得水準の動きが重要になります。
近年は、金利上昇局面においても家計全体では預金金利の上昇が利払い負担を一部相殺するとの分析がある一方で、住宅ローン残高の大きい世帯では返済負担の増加が重くのしかかる可能性が指摘されています。
また、物価全体が上昇する局面では、建築費や土地取得費も上がりやすく、購入初期費用が増える傾向があるため、無理のない返済計画の重要性はこれまで以上に高まっています。
その一方で、賃貸住宅の家賃水準も中長期的には物価や所得の動きに影響を受けるため、「買う方が得か、借りる方が得か」という単純な比較ではなく、自身の収入見通しやライフプランを丁寧に検討する必要があります。
こうした統計や環境変化を踏まえ、これから住まい選びを考える方にとって重要なのは、「日本全体の平均的な持ち家率」にとらわれ過ぎず、自分の年代や家族構成、働き方に合った選択を行うことです。
国の将来推計では、単身世帯の比率が今後さらに高まると見込まれており、世帯人数の縮小が続く中では、広さよりも利便性や維持費の負担を重視する住まい方が選ばれる場面も増えると考えられます。
また、住宅・土地統計調査で示される持ち家率が長期的に大きく変化していないことは、「必ずしも持ち家を取得しなくてはならない」ということではなく、賃貸を含めた多様な住まい方が定着していることの裏返しとも言えます。
そのため、自身の老後資金や働き方の変化、万一の転居リスクなども含めて、持ち家取得と賃貸継続の両方を具体的な数値で比較しながら、無理のない範囲で長期的に安心できる住まいの形を検討していくことが大切です。
| 検討項目 | 確認したい統計・指標 | 主な着眼点 |
|---|---|---|
| 世帯構成の将来像 | 世帯数将来推計資料 | 単身・夫婦のみ世帯比率 |
| 住まい取得環境 | 住宅ローン金利動向 | 返済負担率と金利上昇余地 |
| 国内の住宅ストック | 住宅・土地統計調査 | 持ち家率と空き家率の水準 |
まとめ
日本の持ち家率は長期的に見ると大きな変動は少ない一方で、年代別・世帯構成別・地域別にみると状況は大きく異なります。
統計を正しく理解することで、「今の自分」にとって無理のない住まい選びの判断軸が見えてきます。
金利や物価、将来の家計への不安がある中で、数字だけを追うと判断を誤りかねません。
当社では、公的統計の内容をかみくだきながら、お客様一人ひとりの家計やライフプランに合わせた持ち家の検討をお手伝いしています。
日本全体の傾向を踏まえつつ、自分に合う選択を整理したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

