建売の住宅性能評価とは?メリットや選ぶ理由も紹介
建売住宅の購入を検討する際、「住宅性能評価」という言葉を目にしたことはありませんか。住宅は一生に一度の大きな買い物であるため、少しでも安心できる情報を知りたいと考える方が多いはずです。しかし、住宅性能評価とは何か、具体的にどんなメリットがあるのかわからず、不安を抱えてしまうこともあるでしょう。この記事では、住宅性能評価の基礎と建売住宅における重要性、そして取得による具体的な利点まで、やさしく解説いたします。
住宅性能評価とは何か?
住宅性能評価とは、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)に基づき、第三者機関が住宅の性能を評価し、その結果を等級や数値で表示する制度です。これにより、消費者は住宅の性能を客観的に比較しやすくなり、安心して住宅を選ぶことができます。
この制度には、設計段階での評価を行う「設計住宅性能評価書」と、建設中および完成時に評価を行う「建設住宅性能評価書」の2種類があります。設計住宅性能評価書は、設計図書を基に住宅の性能を評価し、建設住宅性能評価書は、実際の施工状況を確認して評価を行います。
評価項目は以下の10分野に分かれており、各分野で住宅の性能が詳細に評価されます。
| 評価分野 | 主な評価内容 |
|---|---|
| 構造の安定(耐震性) | 地震や風、積雪に対する建物の強さを評価。耐震性は等級1~3で表示され、等級1は建築基準法レベル、等級3はその1.5倍の強さを示します。 |
| 火災時の安全 | 火災の早期発見のしやすさや、外壁や窓がどれくらいの時間、火熱に耐えられるかなどを評価します。 |
| 劣化の軽減(耐久性) | 住宅に使われる材料の劣化の進行を遅らせるための対策がどの程度されているかを等級1~3で表示。等級3は3世代(おおむね75~90年)まで構造躯体がもつことを想定しています。 |
| 維持管理・更新への配慮 | 給排水管、ガス管の点検、清掃、修繕のしやすさを等級1~3で表示します。 |
| 温熱環境・エネルギー消費量(省エネ性) | 住宅の外皮(外壁、窓など)の断熱性能を等級1~7で表示。また、一次エネルギー消費量性能を等級1,4,5,6で表示します。 |
| 空気環境 | 室内への有害物質の発散量の少なさを等級1~3で表示。化学物質の濃度を実測して表示することも可能です。 |
| 光・視環境 | 部屋の広さに対する窓の大きさの割合から、室内の明るさを評価します。 |
| 音環境 | 窓やドアなど開口部の遮音性能や、共同住宅の場合は上下または隣接住戸への音の伝わりにくさを評価します。 |
| 高齢者への配慮(バリアフリー性) | 手すりの設置や段差の解消など、高齢者などへの配慮のための対策が講じられているかを等級1~5で表示します。 |
| 防犯 | 住宅への不法侵入がないよう、開口部に対策がされているかを評価します。 |
これらの評価を通じて、住宅の性能が明確に示され、購入者は自分のニーズに合った住宅を選びやすくなります。

建売住宅における住宅性能評価の重要性
建売住宅を購入する際、多くの方が品質や安全性に対する不安を抱えることがあります。特に、耐震性や断熱性、劣化のしにくさなど、目に見えない部分の性能については、専門的な知識がないと判断が難しいものです。こうした懸念を解消する手段として、住宅性能評価の取得が挙げられます。
住宅性能評価を取得することで、第三者機関による客観的な評価が得られ、建物の性能が数値化されます。これにより、購入者は住宅の品質を明確に把握でき、安心感や信頼性が高まります。さらに、住宅性能評価書があることで、地震保険料の割引や住宅ローンの金利優遇など、経済的なメリットも享受できます。
以下に、住宅性能評価を取得することで得られる主なメリットを表にまとめました。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 住宅性能の可視化 | 耐震性や断熱性などの性能が数値で示され、比較検討が容易になる。 |
| 経済的優遇措置 | 地震保険料の割引や住宅ローン金利の引き下げなどの特典が受けられる。 |
| 資産価値の維持 | 将来的な売却時に高い評価を受けやすく、資産価値が保たれる。 |
このように、建売住宅における住宅性能評価の取得は、購入者にとって多くの利点をもたらします。安心して長く住み続けるためにも、住宅性能評価の有無を確認し、適切な住宅選びを行うことが重要です。
住宅性能評価を取得するメリット
住宅性能評価を取得することには、多くの利点があります。以下に主なメリットを詳しくご紹介します。
1. 経済的メリット
住宅性能評価を取得することで、以下のような経済的な恩恵を受けることができます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 地震保険料の割引 | 耐震等級に応じて、地震保険料が割引されます。例えば、耐震等級3では50%、耐震等級2では30%、耐震等級1では10%の割引が適用されます。 |
| 住宅ローンの優遇措置 | 住宅性能評価を取得した住宅は、住宅ローンの金利引き下げなどの優遇措置を受けられる場合があります。 |
| 紛争処理費用の低減 | 将来的にトラブルが発生した際、指定住宅紛争処理機関に1件あたり1万円で紛争処理を申請できます。 |
2. 品質保証の向上
住宅性能評価を取得する過程で、第三者機関による厳格な検査が行われます。これにより、建築中の各段階で品質が確認され、完成後の住宅の信頼性が高まります。特に、建設住宅性能評価では、基礎配筋工事完了時、屋根工事完了時、内装下地張り直前、竣工時の4回の現場検査が実施されます。
3. 資産価値の維持と売却時の優位性
住宅性能評価を取得した住宅は、将来的な資産価値の維持や売却時の優位性にも寄与します。新築住宅の約3割が性能評価を取得しており、今後も増加が見込まれます。将来、住宅を売却する際、性能評価書があることで、買主に対する安心感を提供し、売却活動を有利に進めることができます。
以上のように、住宅性能評価を取得することは、経済的なメリット、品質保証の向上、資産価値の維持など、多方面での利点があります。住宅購入を検討されている方は、これらのメリットを踏まえて、住宅性能評価の取得を前向きに考えてみてはいかがでしょうか。

住宅性能評価取得にかかる費用と注意点
住宅性能評価書の取得を検討する際、費用や手続き、注意点を理解することが重要です。以下に詳しく解説します。
まず、住宅性能評価書の取得費用は、評価の種類や住宅の形態、評価項目の数によって異なります。一般的な相場は以下の通りです。
| 評価の種類 | 住宅の種類 | 費用の相場 |
|---|---|---|
| 設計住宅性能評価 | 一戸建て住宅 | 約10万~20万円 |
| 建設住宅性能評価 | 共同住宅等 | 約15万~30万円 |
費用は、評価機関や地域、評価項目の数によって変動します。例えば、必須項目のみを評価する場合と、追加項目を含める場合では、費用が異なります。追加項目を選択する際は、必要性を検討し、コストとのバランスを考慮することが大切です。
次に、住宅性能評価を取得する際の手続きについて説明します。一般的な流れは以下の通りです。
- 評価機関への相談・見積もり依頼
- 必要書類の準備と申請
- 設計段階での評価(設計住宅性能評価)
- 建設段階での現場検査(建設住宅性能評価)
- 評価書の交付
手続きには時間がかかるため、早めの準備が求められます。また、評価機関によって手続きの詳細が異なる場合があるため、事前に確認しておくことが望ましいです。
最後に、住宅性能評価を取得する際の注意点やデメリットについて述べます。主な注意点は以下の通りです。
- 費用負担:評価の取得には費用がかかり、住宅の仕様や評価項目の数によっては建築コストが上昇する可能性があります。
- 評価項目の相互関係:ある項目の評価を高めると、別の項目の評価が下がる場合があります。例えば、採光を良くするために窓を大きくすると、耐震性が低下する可能性があります。
- 全てのトラブルを防げるわけではない:住宅性能評価書があっても、全てのトラブルを防ぐことはできません。評価対象外の部分や、近隣とのトラブルなどは別途注意が必要です。
これらの点を踏まえ、住宅性能評価の取得を検討する際は、費用対効果や自身のニーズを十分に考慮することが重要です。
まとめ
住宅性能評価は建売住宅を選ぶ際に、住まいの品質や安全性を客観的に確認できる大切な指標です。評価を受けることで地震保険料の割引や住宅ローンの優遇が受けられるだけでなく、第三者の厳しい検査を経ているため安心感が得られます。また、将来売却する際にも資産価値の面で有利に働きます。費用や手続きも事前に把握することで、失敗しない住まい選びにつながります。住宅購入を考える方には、住宅性能評価の活用を強くおすすめします。